労働組合

この記事では、以下の内容について解説しています。


  • 労働組合の目的
  • 団体交渉の対象事項
  • 誠実交渉義務
  • 労働協約

労働組合の目的

労働組合の目的は、使用者と対等な立場に立って交渉し、労働条件の向上等を図ることです。

使用者は、労働者が加入する労働組合から団体交渉の申し入れがあった場合、正当な理由がなければ使用者は団体交渉を拒否できません(労働組合法7条本文、2号)。

ここで、労組法7条の団体交渉に応じなければならない「使用者」とは、一般に労働契約法を労働者と結んでいる雇用主をいいます。

もっとも、雇用主以外の事業主であっても、雇用主から労働者の派遣を受けて自己の業務に従事させ、その労働者の基本的な労働条件等について、雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配・決定することができる地位にある場合には、その限りにおいて、右事業主は「使用者」にあたると解されます。

具体的には、労働者の作業日時、時間、場所、内容の決定権を有していたか、労働者が使用する器具等はだれが準備したものか、派遣先に雇われている労働者と当該労働者との扱いがことなっていたか、当該労働者の指揮監督権をもっていたのか、といった事情が判断されます。

団体交渉の対象事項

使用者が任意に応じる限りどのような事項でも団体交渉の対象事項になります。

反対に使用者が団体交渉に応じなければならない事項もあります。
この事項を義務的団交事項といいます。

義務的団交事項には、構成員たる労働者の労働条件その他の待遇や当該団体的労使関係の運営に関する事項であって、使用者に処分可能なものが含まれます。

労働条件その他の待遇とは、賃金・一時金・退職金・一部の福利厚生給付等の労働の報酬、配転・懲戒・解雇といった人事、人事考課の基準や手続、その具体的な適用、労働時間、休憩、休暇、安全性、補償、訓練などをいいます。

なお、経営・生産に関する事項、例えば、経営者や上級管理者の人事や工場の移転、会社の合併等は、労働者の労働条件や、雇用そのものに影響のある場合にのみ義務的団交事項となります。

労働組合は当該労働組合の組合員についての労働条件その他の待遇についての団体交渉権に基づき団体交渉をするのですから、非組合員に関する問題については労働組合が団体交渉を申し入れてきたとしても使用者は原則として、団体交渉をする必要はありません。

もっとも、非組合員の労働条件その他の待遇が、将来にわたり組合員の労働条件、権利等に影響を及ぼす可能性が大きく、組合員の労働条件との関わりが強い事項については、義務的団交事項となります。

例えば、新規採用者の初任給の引き下げについて、賃金の高い労働者の賃金を抑制する影響を及ぼすおそれがあること、労働者相互間に不満やあつれきを生じる蓋然性が高いことから義務的団交事項に当たると判断した裁判例があります(東京高裁平成19年7月31日判決)。

誠実交渉義務

使用者が団体交渉に応じなければならない場合、団体交渉義務の基本的な内容として、使用者には誠実に交渉にあたる義務が生じます。

使用者は、労働組合の要求に応じたり、譲歩したりする義務はありませんが、組合の要求や主張を聞くだけでなく、仮に要求に応じない場合でも、資料を提示したり、その理由、根拠を十分説明し納得が得られるように努力する義務があります。

そのような態度がみられない場合には不当労働行為とされることがありますので注意が必要です。

例えば、賃金、手当、人事についての団体交渉について、使用者が、現に支給されている手当が何であるかとの説明をしない、配置転換の必要性について、単に企業の活性化のためだとか、個人的な理由がありいえないなどとしか説明しない場合には誠実交渉義務は果たしたとはいえません。

誠実交渉義務を果たしていれば、交渉を途中で打ち切っても不当労働行為とされることはありません。

交渉をし尽くしこれ以上の進展が見込まれない場合には使用者は交渉を打ち切ることができます。

団体交渉にあたっては、労働者側も誠意をもって交渉を遂行しなければないので、交渉する日時や、場所、人数等については社会通念上許容される範囲の平和的、かつ秩序ある方法で行われるべきであり、この範囲を超える交渉の要求に対しては、使用者は交渉を拒否することができます。

また、交渉を就業時間内に行うか就業時間外に行うかは、使用者の自由です。

労働協約

団体交渉の結果、合意にいたった事項について労働協約が締結されることが多くみられます。

労働協約には労働条件を規律する規範的効力、協約の有効期間中は協約を変更する要求する争議行為を行ってはならないという平和義務を当事者に生じさせるという効力、契約として協約上定められた事項を履行しなかった場合には債務不履行責任が生じるという効力があります。

なお、労働協約は、書面によって、両当事者が署名または記名押印することが要件となっており、労働協約という名称がついてなくても、この要件を備えていれば労働協約となるおそれがあるので注意が必要です。