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この記事では、以下の内容について解説しています。


  • 誹謗・中傷等がなされた場合
  • 不正アクセスの被害にあった場合

誹謗・中傷等がなされた場合

  1. 誹謗・中傷等がなされた場合について

    インターネット上の掲示板等に誰もが自由に書き込みができる今、謂われのない誹謗・中傷等がなされることも少なくなく、その相手に対して何らかの請求をしようにもその相手が誰だか分からないことがあります。

    会社が扱っている商品、サービスや、会社自体についてこれらの中傷がなされた場合、その相手が誰だかわからないからといってそのままにしておくと、取り返しの付かない損害が発生することとなります。

    そのため、早急にそれらの書き込みを行った者を特定して、責任追及をする必要があります。

  2. 刑事責任の追及

    インターネットの掲示板等に誹謗・中傷や虚偽の情報を書き込まれた場合、その書き込んだ者には名誉毀損罪(刑法230条)、信用毀損罪(刑法234条前段)が成立する可能性があり、またそれによって書き込みの対象者の業務を妨害すれば偽計業務妨害罪(刑法234条後段)が成立する可能性があります。

    そのため、これらの場合には、書き込みのページを保存するなどして資料をそろえた上で、警察へ被害届を提出し、警察の捜査を促す必要があります。

    被害届が受理され、捜査が進んだ場合、捜査の過程で判明した事実は、民事責任の追及において、請求の相手先が判明したり、重要な証拠となったりするなど大変有用となることがあります。

  3. 民事責任の追及

    インターネット上に名誉や信用を毀損するような書き込み(情報の発信)がなされた場合、その行為が不法行為に該当するとして、その書き込みがなされたことによって生じた損害の賠償を請求出来る場合があります(民法709条)。

    しかし、インターネット上の匿名掲示板などにおいて誹謗中傷のような書き込みがなされた場合、その相手がどこの誰だかも分からない場合が多く、損害賠償請求をしようにもしようがないということがあります。

    そのような場合、プロバイダや掲示板の管理者に対して、発信者情報の開示請求をしうることが法律によって定められています。

    それが「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」、通称「プロバイダ責任制限法」です。

  4. プロバイダ責任制限法について
    1. 発信者情報の開示請求

      プロバイダ責任制限法では、①侵害情報の流通によって権利が侵害されたことが明らかであること、②発信者情報が開示請求者の損害賠償請求権の行使のために必要であるか、発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があることの双方の要件を充たす場合に、当該書き込み(発信)によって自己の権利が侵害されたとする者が、プロバイダや掲示板等の管理者に対して、発信者の情報の開示を請求することが出来る旨定められています(同法4条)。

      そのため、インターネット上で誹謗・中傷などの被害を受けた場合、直ちにこの発信者情報の開示請求を検討する必要があるでしょう。

    2. プロバイダ等の責任の制限

      なお、プロバイダ責任制限法では、自己の権利を侵害された者に発生した損害について、①プロバイダ等自身が侵害情報の発信者ではなく、②情報の送信を防止する措置を講ずることが技術的に可能であり、③権利を侵害する情報が流通していたと知らなかったか、もしくは情報の流通を知ってはいたものの、他人の権利が侵害されたと認めるに足りる相当の理由がなかった場合には賠償の責任を負わないとされています(同法3条1項)。

      また、情報の送信を停止したことによって発信者に生じた損害については、①情報の送信を停止する措置が必要限度内であり、②その情報が他人の権利を侵害していると認めるに足りる相当の理由があったか、もしくは権利を侵害する者からその理由を示して送信を停止するよう要求があり、情報発信者に送信停止の同意を求めた場合において7日間以内に返答がなかったときには、その賠償の責任を負わないとされています(同法3条2項)。

      これらは逆にいえば、権利の侵害事実について、明らかな根拠とともにプロバイダや掲示板の管理者等に通知すれば、その上で何も書き込みの削除等の対処がなされなかった場合に、これらの者が賠償の責任を負うこととなり、他方でその権利の侵害があると判断できる相当の理由がある場合には当該書き込み等を削除してもその責任を負わないことになりますので、プロバイダ等による自発的な書き込みの削除等を促すことができます。

      なお、権利を侵害されたとする者からの要求にもかかわらず、プロバイダ、刑事番頭の管理者等が発信者情報の開示を行わなかった場合について、当該開示をしなかったことによって、開示を請求した者に生じた損害については、①プロバイダ等自身が情報の発信者ではなく、②また開示しなかったことについて故意または重大な過失がなかった場合には、そのプロバイダ等は責任を負わないとされています(同法4条4項)。

不正アクセスの被害にあった場合

  1. 不正アクセス禁止法による規制

    他人のIDやパスワードを不正に使ってシステムにアクセスし、そこから情報を盗んだり、データを破壊する等の行為がなされることがあり、盗まれた情報の内容によっては甚大な被害が発生する場合もあります。

    法律が制定されていなかった時代は、不正にシステムにアクセスする行為それ自体は処罰することができませんでしたが、システムの不正アクセスはあらゆるインターネット犯罪の窓口となりうるものであり、またIT化が加速し、問題がより深刻化してきたことから、これらの行為を処罰し、他方でアクセスを受ける側の防御体制を構築するため、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律(いわゆる不正アクセス禁止法)」が制定されました。

    同法の制定により、他人の手帳やメール等から盗み見た他人のIDやパスワードを使ってシステム等にアクセスすることや、セキュリティの隙をついてシステムに侵入するなどそれ以外の方法によってシステムにアクセスする行為は、「不正アクセス行為」として、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられることとなりました(同法8条)。

    また、これらの不正アクセス行為を行った者だけでなく、不正アクセスの助長行為を行った者についても30万円以下の罰金に処せられます(同法8条、9条)。

    そのため、これらの行為の被害を受けた場合、可能な限り資料を収集した上で、警察に被害届を出し、捜査を促すことが必要です。

    なお、これらの不正アクセス行為によって損害が生じた場合、当該不正アクセス行為を行った者に対して、不法行為に基づく損害賠償請求をすることができます。

  2. アクセスを受ける側の防御態勢の構築

    また、同法では、不正アクセス行為を禁止する一方で、不正アクセス行為を容易にさせぬよう、アクセスを受ける側であるアクセス管理者に、不正アクセスに対する防御措置を構じる責務があることを定めています(同法5条)。

    そして、不正アクセスが行われたと認められる場合において、不正アクセス行為が行われた電子計算機のアクセス管理者から援助を受けたい旨の申し出があり、その申し出を相当と認めるときは、都道府県公安委員会は不正アクセス行為の再発防止のための援助を行うことを定めています。

    もっとも、実際に不正アクセス行為を防止する措置を講じるのはアクセス管理者ですから、この援助は資料提供や助言、指導のみにとどまります。