契約

この記事では、以下の内容について解説しています。


  • はじめに
  • 履行期、履行方法
  • 金額
  • 契約の有効期間
  • 契約の解除事由
  • 期限の利益喪失条項
  • 保証人・担保
  • 損害賠償条項(ペナルティ条項)
  • 危険負担条項

はじめに

契約書は後日の紛争を防止するために作成するものですので、契約内容のうち紛争が生じやすい内容の条項は特に注意して記載する必要があります。

以下特に注意すべき条項について説明します。

•履行期、履行方法
•金額
•契約の有効期間
•契約の解除事由
•期限の利益喪失条項
•保証人・担保
•損害賠償条項(ペナルティ条項)
•危険負担条項

履行期、履行方法

例えば、売買契約の場合は、売主の物の引渡時期がいつなのか、買主の代金支払時期がいつなのかが争点となる紛争が生じる場合があります。

そのような履行期が経過しても何ら正当な理由なく履行しない場合には債務不履行となり法的な責任(損害賠償責任、解除事由等)が生じることになります。

また、履行の方法についても、例えば代金を現金持参払いなのか、銀行振込なのか、商品の引き渡し場所はどこか等も明確にしておかないと、後日、履行したか、履行していないか(債務不履行か)という点で争いになりかねません。

なお、履行に際して発生する費用、振込手数料等を誰が負担するのかも明確にしておくべきでしょう。

〈例〉

第○条 
甲は乙に対して、本件物品を平成○年○月○日までに乙の本店所在地に持参して引き渡す。但し、引渡しに要する費用は甲の負担とする。

第○条
乙は甲に対して、平成○年○月○日限り、本件物品の購入代金として金○○万円を甲の指定する以下の口座に振り込む方法により支払う。但し、振込手数料は乙の負担とする。

(振込先口座)
○○銀行 ○○支店 普通○○○○○○○○
名義 ○○株式会社(○○○○カブシキガイシャ)
履行時期については以下のように同時履行の約束にしておくこともあります。

第○条
乙の代金の支払いは、甲が平成○年○月○日に本件物品を乙の本店所在地に持参して引き渡すのと引き換えに行う。

金額

売買代金や請負代金など、金額についてはその数字は勿論のこと、その支払時期も実際の約束と合致させます。

例えば、売主から「契約書上は○月○日までに一括払いという約束になっているけど、実際は分割払いでいいですよ。」と言われても、買主はそのままにせず、実際の約束に合わせて分割払いの条項にすべきです。

〈例〉分割払いにする場合

第○条
乙は甲に対して、本件物品の購入代金として金○○万円を以下のとおり2回に分割して、甲の指定する以下の口座に振り込む方法により支払う。但し、振込手数料は乙の負担とする。
(1)平成○年○月○日限り  金○○万円也
(2)平成○年○月○日限り  金○○万円也
(振込先口座)
○○銀行 ○○支店 普通○○○○○○○○
名義 ○○株式会社(○○○○カブシキガイシャ)

契約の有効期間

賃貸借契約や業務委託契約などで、一定期間継続して契約が妥当するような契約の場合、いつからいつまで妥当するのかという有効期間を明確にする必要があります。

〈例〉

第○条(賃貸借期間)
本契約の期間は、平成○年○月○日から平成○年○月○日までの2年間とする。

契約の解除事由

契約をしたにもかかわらず、先方が約束に違反した場合(債務不履行の場合)、民法に基づいて解除することができますが、一定の法律上の要件を充たさなければ解除は認められません。

例えば、約束の期限に代金を支払ってもらえない場合であっても直ちに解除することができるのではなく、内容証明郵便等を利用して相当な期間内に代金を支払うよう通知をして、その期間内に支払われないときにようやく解除ができるようになるのです。

しかし、それでは約束の期限を過ぎてから多くの時間が経過しないと解除が認められないことになってしまいます。

そこで、約束違反が生じた場合など、一定の場合は民法等の要件を充たさなくても解除できるような条項を定めておく必要があります。

例えば、約束違反があったら無催告で直ちに解除できる条項を入れておくのです。

〈例〉

第○条(解除)
甲又は乙が以下の各号のいずれかに該当したときは、相手方は催告及び自己の債務の履行の提供をしないで直ちに本契約の全部又は一部を解除することができる。

  1. 本契約の一に違反したとき
  2. 監督官庁から営業停止又は営業免許もしくは営業登録の取消等の処分を受けたとき
  3. 差押、仮差押、仮処分、強制執行、担保権の実行としての競売、租税滞納処分その他これらに準じる手続が開始されたとき
  4. 破産、民事再生、会社更生又は特別清算の手続開始等の申立がなされたとき
  5. 自ら振り出し又は引き受けた手形もしくは小切手が1回でも不渡りとなったとき、又は支払停止状態に至ったとき
  6. 合併による消滅、資本の減少、営業の廃止・変更又は解散決議がなされたとき
  7. その他、支払能力の不安又は背信的行為の存在等、本契約を継続することが著しく困難な事情が生じたとき

期限の利益喪失条項

金銭消費貸借契約で分割払いの約束があった場合、借主としては定められた期限までは支払いをしなくて良いということになります。

つまり、借主は支払猶予という利益を受けていることになります。
この借主(債務者)の利益のことを期限の利益といいます。

ところが、貸主(債権者)としては、借主が正当な理由なく期限通りに支払うことができなくなった場合などにまで期限の利益を与えておくことはできないでしょう。

そこで、分割払いの条項がある場合には、一定の場合には期限の利益がなくなるという期限の利益喪失条項を設けておくのが通常です。

〈例〉

第○条(期限の利益喪失)
乙が次の各号のいずれかに該当した場合、乙は当然に本契約から生じる一切の債務について期限の利益を失い、乙は甲に対して、その時点において乙が負担する債務を直ちに一括して弁済しなければならない。

  1. 本契約の分割金の支払いを怠ったとき
  2. 本契約の一つにでも違反したとき
  3. 監督官庁から営業停止又は営業免許もしくは営業登録の取消等の処分を受けたとき
  4. 差押、仮差押、仮処分、強制執行、担保権の実行としての競売、租税滞納処分その他これらに準じる手続が開始されたとき
  5. 破産、民事再生、会社更生又は特別清算の手続開始等の申立がなされたとき
  6. 自ら振り出し又は引き受けた手形もしくは小切手が1回でも不渡りとなったとき、又は支払停止状態に至ったとき
  7. 合併による消滅、資本の減少、営業の廃止・変更又は解散決議がなされたとき
  8. その他、支払能力の不安又は背信的行為の存在等、本契約を継続することが著しく困難な事情が生じたとき

保証人・担保

債務者の債務の履行を確実にするために、債務につき連帯保証人をつける場合があります。

これにより、債権者は債務の履行を債務者〈主債務者〉だけでなく連帯保証人にも求めることができるようになります。

連帯保証人をつける場合は、前文、後文にも当事者として連帯保証人を掲げます。

〈例〉

(貸主)○○○○(以下「甲」という。)、(借主)○○○○(以下「乙」という。)及び(連帯保証人)○○○○(以下「丙」という。)は、本日次のとおり金銭消費貸借契約(以下「本契約」という。)を締結する。
…略…
第○条(連帯保証人)
丙は、乙の連帯保証人として、本契約により生ずる乙の甲に対する一切の債務の弁済につき、連帯して保証する。
…略…
以上、本契約締結の証として、本契約書3通を作成し、甲乙丙相互に署名又は記名・捺印のうえ、各1通を保有することとする。
…略…
            丙
                               ㊞
抵当権を設定する場合もその旨を記載します。

〈例〉

第○条(抵当権の設定)

  1. 乙は、本契約に基づく債務の担保として、後記表示不動産に順位1番の抵当権を設定する。
  2. 乙は、甲の指示により甲のため直ちに必要な抵当権設定登記手続を完了しなければならない。登記費用は乙の負担とする。
    担保を設定した場合には、その担保が失われたときなどに備えて代わりの担保を提供する約束をする場合もあります。

〈例〉

第○条(代担保・増担保)
甲は、丙が死亡した場合、もしくは債権保全のために必要と認めたときは、乙に対し、代担保、増担保の提供若しくは連帯保証人の追加を求めることができる。

損害賠償条項(ペナルティ条項)

契約をしたにもかかわらず、先方が約束に違反し(債務不履行)損害が生じた場合、民法に基づいて損害賠償請求をすることができますが、その損害額がいくらなのかという点につき争いが生じることがあります。

そこで、あらかじめ損害額について約束をしておき、損害額についての紛争を防止することが考えられます。

〈例〉

第○条(損害賠償額の予定)
甲又は乙は、解除、解約又は本契約の重大な義務に違反することにより、相手方に損害を与えたときは、代金額(消費税込)の20%相当額の違約金を賠償しなければならない。

危険負担条項

売買の目的物(商品等)が地震等の天災により滅失した場合など、当事者のどちらの責任でもなく一方の債務が不履行になった場合、その不履行によって発生した損害を誰が負担するかという問題が発生しえます。

具体的には、この場合、売主は商品を引き渡すことができない以上引渡債務は消滅しますが、他方、買主の代金支払債務は消滅するのか、存続するのかという問題が生じます。

これを危険負担の問題といいます。

この場合、民法によれば、原則として買主の代金支払債務は存続しますので、買主は商品を受け取れないにもかかわらず、代金だけ支払わなければならなくなります。

しかし、これでは買主に不都合という考え方もありますので、その場合には危険負担を売主が負担するという条項を規定しておく必要があります。

また、引渡債務が債務不履行になった時点によって危険を売主と買主とで分担する条項にしておくこともできます。

このように、誰が危険を負担するのかを条項で明記しておけば、危険負担の場面における紛争を防止することができます。

〈例〉

第○条(危険負担)
引渡前に生じた本件物品の滅失、毀損、減量、変質、その他一切の損害は乙の責めに帰すべきものを除き甲が負担し、本件物品の引渡後に生じたこれらの損害は、甲の責めに帰すべきものを除き乙が負担する。