マンション

この記事では、以下の内容について解説しています。


  • 定期建物賃貸借契約について
  • 通常の賃貸借契約の問題点
  • 定期建物賃貸借契約のメリット・デメリット
  • 定期建物賃貸借契約の締結方法
  • 中途解約の可否
  • 一時使用建物賃貸借契約との比較

定期建物賃貸借契約について

「所有地上の所有建物を貸したい、けれども将来的には建物を取り壊して土地を別のことに利用したい。」「所有建物が老朽化したので1年後に修繕する予定があるが、それまで別の人に貸して家賃収入を得たい。」「数年ごとに家賃の見直しを図りたい」など考えている場合、定期建物賃貸借契約を結ぶメリットがあります。

定期建物賃貸借契約とは、契約で定めた期間が終了したとき、更新されず、契約がそのまま終了する賃貸借契約です。

通常の賃貸借契約の問題点

通常の賃貸借契約では、契約期間が満了しても、原則として契約は終了しません。

貸主において借主に明渡しを認める「正当事由」が認められないと、契約は終了しないものとされているのです。

正当事由は、

1.貸主・借主が建物を必要とする事情
2.賃貸借に関するそれまでの経過
3.建物の利用状況
4.建物の現在の状況
5.立退料などの提供状況

などの5つの基準を考慮して判断されます(借地借家法28条)
(なお、正当事由の有無の判断で重視されるのは、1.ですが、最近では、5.も重要な要素となってきているようです)。

この正当事由はそう簡単には認められません。

そして、正当事由が認められない場合には、賃貸借契約は従前と同じ条件で更新されてしまいます(法定更新・ただし期間の定めはないものとされます)。

なので、通常の賃貸借契約を結んでいた場合は、貸主は借主に出て行ってもらうために、高い立退き料を払って交渉する等が必要となってきます。

定期建物賃貸借契約のメリット・デメリット

定期建物賃貸借契約では、期間が終了すれば、契約は当然に終了し、借主は建物を明け渡す義務を負うので、貸主は立退き料を支払う必要がありません(もっとも、上述のように相手が立ち退かない場合、面倒な明渡し手続きを経る必要が出てくるので、これを回避するため、早期明渡しと引き換えに一定の立退き料を支払うことはあるでしょう)。

また、期間終了後に再び契約を結ぶことは自由ですので、その際、家賃の見直しを図ることも可能です。

もっとも、借主側としても、一定期間経過後、必ず出ていかなければならないとされると、契約締結に消極的になるでしょう。

定期建物賃貸借契約においては、その点を考慮して、貸主は、通常よりも低い賃料を設定せざるをえないことが多いというのが実情です。

また、契約締結にあたっては、「定期建物賃貸借契約の締結方法」で説明するとおり、一定の条件が課せられます。

定期建物賃貸借契約の締結方法

定期建物賃貸借契約締結にあたっては、

  1. 貸主が借主対して、契約の更新がなく、期間の満了により賃貸借は終了することを記載した書面を交付して説明すること(説明義務の履行)
  2. 契約書を作成すること(書面化)
  3. 一定の契約期間を定めること

が必要です。

中途解約の可否

賃貸借契約を終了させる手段としては、相手方に契約違反があった場合の契約解除や、当事者双方が契約終了を合意する合意解除があります。

しかし、このような事情がなく、また、契約書に中途解約の定めもない場合、定期建物賃貸借契約中途解約ができるのでしょうか。

借地借家法38条5項では、定期建物賃貸借契約でも、一定の場合には中途解約ができると定めています。
その条件は、

  1. 居住用の建物の賃貸借契約であること
  2. 床面積(建物の一部分が賃借物件である時は当該部分のみ)が200平方メートル未満であること
  3. 転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、賃借人が建物を自己の生活拠点として使用することが困難になったこと

です。

これら3つの条件を全て満たさないと、中途解約はできません。

営業用建物については、借主からの一方的な解約は認められず、たとえ借主が事業に失敗した等で勝手に退去してしまっても、契約は存続します。

ですので、借主は賃料を支払い続けなければならないということになります。

一時使用建物賃貸借契約との比較

定期建物賃貸借契約と類似の契約に、一時使用目的を定めた賃貸借契約(一時使用建物賃貸借契約)がありますが、後に紛争となることが多く、現在ではあまり使われていません。

一時使用建物賃貸借とは、一時使用のために建物を賃貸したことが明らかな場合をいいます。

一時使用建物賃貸借の場合も、正当事由の有無に関係なく、賃貸借期間が満了すれば、更新されず、契約は終了します。

一時使用建物賃貸借契約では、締結に際して、定期建物賃貸借契約のような、説明義務の履行や、書面化は求められていません。

しかし、更新されない一時使用目的での建物賃貸借契約であることを借主が争ってきた場合、貸主は、一時使用目的であったことを立証していかなければなりません。

この立証は、契約締結時に短期間に限って契約を存続させるとする合意があったということだけではなく、一時使用のためであると評価してもよい客観的な事情に関しても必要とされ、争いが相当長引く場合があります。

ですので、多少手続が煩雑であっても、定期建物賃貸借契約にするほうが良いでしょう。